市場の記憶を受け継いだ集いの場
ブランチ横浜南部市場
2003年3月末に中央卸売市場としては廃止された横浜市南部市場(金沢区)が、ブランチ横浜南部市場として2019年9月にオープンし、「食のライブマーケット~地域と人が食でつながる交流拠点~」をコンセプトに、魚や野菜の専門店群や、地元の商品を手頃な価格で扱う「食のアウトレット」、体験型施設、交流スペース、オープンカフェなど約30のテナントが入居し、金沢エリアに人を呼び込むきっかけとなることが期待されています。
この施設のランドスケープデザインは、横浜南部市場としての土地の記憶を残しながら、市場のスケールをヒューマンスケールに書き換えていくために、まず外部空間で使用する素材を、これまで市場で使われていたであろう、コンクリートとパレット、そしてペイントに限定しました。サインやベンチ、人の居場所となる場作りは全てパレットを組み合わせて作ることで、全体の統一感と市場らしさを持たせています。また、長大な市場の空間を芝生・イベント・エントランスガーデンという異なる3つの広場とそれらを結ぶ2つのストリートに分節することで、単調になりがちな空間にメリハリを持たせています。これらの床は基本的に全てコンクリート仕上げに統一されていて、その所々に UMA/design farmが計画したグラフィックが施されることでアクセントを生み出しています。TREEFORTEの石川洋一郎が担当した植栽計画は、市場から商業施設に変わったことを印象付ける非常に重要な要素で、特にエントランスガーデンにおいては、来場者を迎え入れ、その場に人々の居場所を生み出す役割を担っています。Open Aがデザイン監修した建築は市場らしさを残しながら、全体が白でまとめられていて横浜らしい明るく爽やかな印象を与えてくれています。また、ライティング プランナーズ アソシエーツが担当した照明計画のおかげで、機能的な光が連続する湾岸エリアにあって、この場所だけ暖かな光を纏っており、いままでのイメージを一新しています。このようにランドスケープ、建築、グラフィック、植栽、照明とそれぞれに専門家が加わりアイデアを持ち寄りコラボレーションすることで、質の高い空間づくりができたのではないかと思います。
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竣工
2019年
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所在地
神奈川県横浜市
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事業主
大和リース
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敷地面積
34,719㎡
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建築設計
昭和設計
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意匠設計監修
Open A
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植栽計画
TREEFORTE
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照明計画
ライティング プランナーズ アソシエーツ (LPA)
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グラフィック・サインデザイン
UMA/design farm
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撮影
清水隆裕
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業務内容
ランドスケープデザイン・ファニチャデザイン
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担当デザイナー