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空とつながる水鏡

津久井やまゆり園「鎮魂のモニュメント」

津久井やまゆり園のエントランス広場に設置された直径約2mの大きな器。黒御影石を磨き込んで作られたこの器は、この場所から見上げた空を写し込みます。
器の底には、全ての人がその人らしく生きられる社会の実現をめざすため制定された「ともに生きる社会かながわ憲章」が刻まれています。この憲章は、この場所で起きた痛ましい事件を忘れないように、また、二度とこのような事件が起きないように犠牲になった方々への誓いの言葉として、この場所へやってきた人の最も目に入りやすい場所に記されています。
また、月に一度月命日の日は、器は水で満たされ大きな水鏡となります。中央の給水口からゆっくりと溢れ出した水は少しずつ器を満たし、縁にある19ヶ所の溝から白滝のように流れ落ちます。溢れることによってより鮮明に映る空と風に乗って心に響く水音が、人々を誘い、このモニュメントを中心とした交流を促すでしょう。
水鏡と同じく黒御影石で製作された献花台には、この施設の象徴であるヤマユリの花がショットブラスト技法で掘り込まれ、白く浮かび上がっています。それらの本数や水鏡の溝の数は犠牲者の方々を暗喩しており、密かに記されたそれらのメッセージが事件を語る「語り部」となっていくことを願っています。
このモニュメントと対峙する時私たちは、モニ ュメントを通して空とつながり、この空の下、共に生きることを改めて誓うのです。

  • 竣工

    2021年

  • 所在地

    神奈川県相模原市

  • 事業主

    神奈川県

  • モニュメント整備範囲

    約 70㎡

  • 石材加工および石工事

    新成

  • 撮影

    清水隆裕

  • 業務内容

    モニュメントデザイン

  • 担当デザイナー

    熊谷玄, 古永家由紀, 高津悠人

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