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立山に祈る

富山霊園 富山市斎場

立山は、富山で暮らす人々にとって毎日目にする日常の風景であり、暮らしに恵みをもたらす根源であり、その雄大な姿から畏敬の対象でもあります。古くは霊山として故人が還る場所と考えられていました。この場所で、立山に向かい合うためのランドスケープをデザインしました。
周囲から迷惑施設とされ、閉ざされた印象を持つかつての斎場から、開かれた斎場として生まれ変わる建築・ランドスケープの計画と、環境資源としての立山連峰のダイナミックな風景と、それを受けとめ眺めることのできる建築計画を踏まえて、その足元にふさわしい計画としました。一度しかないお別れの場として、静かにそばに寄り添うことのできるランドスケープデザイン。「斎場」という特殊な用途から、この富山の地では、「死」と環境資源としての「立山」の融合によって、新たな斎場の創出を目指しました。
立山と対面する建築とその際を汀(みぎわ)と捉え、山々へと広がる景色を大きな水面と捉えました。汀の際に立つ建築へ静かな波が寄せる様子と、そこに伸びる一本の桟橋。故人に少しだけ近づくことのできる様な心象風景を描くことを目標としました。その行為が故人に想いを馳せ、そして自らを省みるきっかけになることを願います。

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