格子が繋ぐ日本の風景
KRISUMI CITY Phase 3, 4 & 7: Waterside Residences, Waterfall Suites II / The Cascades Club
住友商事とインドのKrishnaグループの共同企業体Krisumi Corporationが手掛けるマンション開発事業「Krisumi City」は、デリー郊外のグルガオンのおよそ13haの敷地に住居約2,770 戸と商業施設、オフィスビル等を建設する大規模開発事業です。複数期にわたり建設され、2030年に全域が完成する予定です。STGKはPhase 2からのランドスケープデザインを担当しています。
Phase 3, 4 & 7 には高層住宅棟のほか、中央に広大な池を有する大規模な庭園とクラブハウスが含まれます。富裕層が暮らすこのような住宅地は塀に囲まれたコミュニティとして計画され、その中で生活者が日常を過ごすための様々な屋外のアメニティを担当しました。
Kurisumi Cityのマスタープランで本フェーズのテーマが「Lake」と設定され、また経営陣より「日本らしさ」への強い要望があったことから、ランドスケープは池泉回遊式庭園を現代的に捉え直し、中央に大きな水景を配し、それらを取り囲む各タワーが持っているファサードやインテリアのコンセプトと紐付けながら「水の景」「山の景」「林の景」「浜の景」とエリアごとにコンセプトを定義し、それぞれのコンセプトに応じた植栽構成や造形を展開、敷地全体を回遊しながら景色の変化を楽しめるような庭を計画しました。
メインフィーチャーとなる水景は、キッズプールを上流に、じゃぶじゃぶ池から修景池へと流れ、最後はプールへと変化します。それらを取り囲む緑地にはマウンドで変化をつけ、景色のキーになる場所には景石やシンボルツリー、東屋を配しながら、多様な景色を創りました。
このような全体のランドスケープに対し、格子状の動線を重ねながらさらに空間を大小に分節、その中に様々な庭やお休み所、プール、野外劇場、キッズパーク、テニスコートなどの多彩なアメニティを散りばめつつ、「格子の庭」として庭園を纏めました。
様々な幅の「格子」はところどころで途切れたり、雁行させたりしながら崩し、歩いていくなかで視線が抜けたり途切れたりしながら、変化のある景色を生み出します。高層ビルに囲まれた中で、地上での多様な景色と、上層階からの見下ろした際の統一的な美しさ、それらを両立させることを大切にデザインしました。
(宮本 潤)
日本の美と静けさを湛える、迎賓の庭 ―クラブハウス「The Cascades Club」
「The Cascades Club」は、Krisumi City開発のエントランスを象徴するメンバー制クラブハウスです。食事やスパ、スポーツなど多彩なアクティビティを楽しめるこの施設は、上質な社交と心安らぐ時間を提供する場として、高品質な空間が求められました。
建築は「滝」をテーマとし、段状に連なるテラスが水の流れのリズムを表現し、その足元には「滝壺」をテーマとしたプールガーデンを計画しています。ラウンジにはやさしい水音が響き、竹庭の緑が風にそよいで、静けさと開放感に満ちた半屋外空間が広がります。
来訪者を迎えるエントランスでは、景石と水の流れを取り入れた庭園が凛としたもてなしの空気を演出し、また宴会場とつながる庭には築山や石組みを配し、日本らしい風景を描き出しています。日本の美意識と現代の感性が融合し、建築とランドスケープが有機的に結びつくことで、都市にいながら自然の気配に包まれる豊かで静かな迎賓空間を創出しています。
(荒木 宗一郎/STUDIOSOW)
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プロジェクト状況
2023 Schematic Design 終了 / 2025 建設中
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所在地
Gurugram (Gurgaon), India
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事業主
Krisumi Corporation
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建築設計 (Residential towers)
日建ハウジングシステム
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建築設計 (Masterplan, Clubhouse):
日建設計
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CG rendering
RaySpace / 日建ハウジングシステム
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Local architect
Rajeev Agarwal Architects
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植栽計画
石川洋一郎 (TREEFORTE)
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屋外照明計画
田中裕美子 (Sonne)
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業務内容
Landscape design (Concept design / Schematic design)
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担当デザイナー